保育園での複数担任制。受け持ったクラスの子供の年齢や人数によっては、複数の先生でクラス運営を任されます。最近では、幼児組でも、2人担任のこともありますよね。乳児組に配属された場合は、ほぼ、複数担任は決定です。
先生の人数が多いことで、保育士の負担軽減につながりそうですが、実際には、役割分担や人間関係がうまくいかずに、ストレスになってしまうことも少なくありません。特に、保育士として働き始めの頃は、誰にも相談できずに、ひとりで悩みを抱え込んでしまうかもしれません。
今回は、複数担任のストレスの原因と解決策について考えていきたいと思います。実際に、複数担任のクラスでは、どのようなことを難しいと感じているのでしょうか?
目次
複数担任の場合は、1人担任とは違って、お互いに協力し合い、効率よく仕事をまわしていかなければなりません。
仕事の役割分担が上手くいくと、子供にも目が良く行きわたり、密に関われたり、全体のスムーズなクラス運営につながります。
複数担任のクラスでは、主担任と補助の先生に分かれていて、お互いの連携が大切です。それぞれの立場から、役割分担を良くするためにはどうしたらよいのか、みてみましょう。
補助の先生の役割は、主担任がリーダーとなって、1日の活動や流れをスムーズに行えるように補助したり、子供達に必要な個別の援助をしていくことです。
経験を積んでいる補助の先生の中には、言葉でいわれなくても、「今はこの補助が必要かな?」、次の活動の流れに向けて「これを準備しておいた方がいいかな?」というような考えがすでに頭の中にあり、その場の状況を察して行動をしていくことができます。
でも、この『察して必要な行動をする』って、経験が浅いうちは難しくて、うまくできないと悩んでしまいますよね。今する必要のないことをしてしまうと注意されてしまったり、だからといっていちいち聞きすぎるのも迷惑がられてしまう気もするし…。
こうした時は、まずは、1日の流れ、保育士の動きとその日の活動やねらいを把握しましょう。必要なことは、その都度、メモを取っておいても構いません。そうすることで、今、自分がするべき仕事が見えてくるかもしれません。
主担任が全体をまわしているときは、必要な個人の子供の対応。逆に、主担任が個人の子供や保護者に対応しているときは、全体の安全をみたり、並行して必要な準備や片付けなどをしたりしてみましょう。
なかなか子供の対応などを上手くできないうちは、手の空いた時間などに率先して掃除をしたり、教材の準備を手伝うことも1つの立派な役割です。
主担任は、計画を立ててクラス全体の活動を行なったり、クラスをまとめていかなければなりません。ほかの先生たちの適切な補助によって、主担任はリーダーシップをとってクラスの子供達を1日の活動の流れにスムーズに導いていくことができます。
役割分担がままならないと、クラスが落ち着かなくなったり、きちんと活動ができなかったり、1日の流れがまとまらなくなったり…時には、目が行きわたらなくて、けがにつながってしまったりしてストレスになりますよね。責任も感じてしまいます。
ほかの先生達とうまく役割分担をしていくには、どうしたらよいのでしょうか?
まずは、自分のしていきたい活動やお願いしたいことを伝えるなど情報を共有していくことが大切です。
他の先生達に察してもらえればよいのですが、実際には言わないと気がつかなかったり、分からないこともあります。事前にしてほしい補助を伝えておいたり、その場で、状況に応じた役割や対応をお願いしても良いでしょう。
補助の先生の中には、経験年数の違いや得意不得意などもあるかと思います。出来そうなことをお願いするのもスムーズに分担する一つの手かもしれません。
また、制作や行事の準備などを相談したり、お願いできそうなことはほかの先生達にも頼んでどんどん協力してもらいましょう。もちろんお礼の言葉かけも大切です。
同じ職場の先生同士でも、やはり気が合う、合わないってありますよね。
気の合う先生、仕事のできる先生と一緒の配置になれば働きやすいかもしれませんが、どうしても仕事なので相性のよくない先生やきつい先生と一緒にクラスを受け持つこともあるかと思います。
そんな時は、毎日仕事に行くのが憂鬱になってしまいますよね。人間関係のストレスにはどう対処していったらよいのでしょうか?
心構えとしては、仕事だから完全に仲良く打ち解ける必要はないと心の隅においておくのもよいかもしれません。
でも、やはり仕事なのでお互いに協力して大きな問題なく仕事をこなしていくにはコミュニケーションが必要になってきます。そして、人間関係の良さがクラス内での先生同士による助け合いや協力にもつながってきます。
まずは、基本のあいさつ、特にお礼は忘れずに言うように心がけましょう。言葉使いも大切です。立場に関係なく相手の話をよく聞くこと、尊重する態度を見せることも大切です。
一緒に働きにくい先生と、毎日同じクラスで過ごすのはつらいところですが、そんな時は無理に仲良くしようとする必要はありません。
自分の保育の仕事に目を向けて向き合いながら、最低限失礼のないように接していくうちに自分の保育の向上につながったり、いずれ相手の態度が変わってくることもあります。
仕事上の分からないことがあったら少し意見を聞いてみたり、掃除や片付けなど面倒な役割をしたりするうちに、関係性が変わっていくこともあります。人間関係のストレスは仕事がうまく回らない不満が原因になっていることもあるからです。時間がかかるかもしれませんが、少しずつとけ込めるようになる日が来るかもしれません。
話しかけにくいなと思う時でも、特に主担任への「報連相」は忘れずに。
複数担任だと、どうしても保育方針の違いや、子供への対応などに差が出てしまうことがあります。いろいろな角度からみれること自体は良いことですが、複数担任の間でこれらが大きくずれてしまうと、保育の目標に向けて連携して進んでいくことが難しくなってしまいます。
保育観の違いは、保育士もそれぞれの人間なので考え方が違っても当たり前だと思います。
他の先生の保育のやり方や子供の対応をみて、「これは、どうなのかな?」と疑問に思うことも、もしかしたらその先生なりの考えや経験に基づいているのかもしれませんし、いずれ新しい発見がみえることがあるかもしれません。
人の保育観を変えることはできないので、多少の違いはこういう考えもあるんだなと心のすみに置きつつ、どうしても違う時は反面教師にするのも手です。
ただ、複数担任の中で保育方針や子供への対応が大きく異なるときは、子供も混乱してしまいますので、職員同士で話し合って統一しておいた方が良さそうです。お互いに意見を交換して折り合いをつけつつ、最終的には主担任の結論に合わせていくことになります。
もちろん悩みを解決するために考えて行動することも大切ですが、人間関係は働く上でもっともトラブルが多いことでも知られています。もし頑張ってダメだったら転職することも考えてもいいかもしれません。
働く環境は保育園によって全く違います。今凄く悩んでいることが転職したら一気に解決してしまうことも少なくありません。でも大事なのは数ある保育園の中で自分に合っている保育園を見つけることです。
転職サイトのアドバイザーは地域の保育園事情に詳しい転職のプロと言えます。「こんな保育園で働きたい!」「今、人間関係で悩んでいる」「ストレスで体調がおかしくなりそうで何とかしたい」などの相談もできます!
アドバイザーは地域の保育園事情に詳しいために、「それなら転職をした方が良い」「その問題はどこの保育園でも起こりうることだからもう少し頑張った方が良い」など悩みに対して具体的なアドバイスをくれます。
何人かの先生で協力しなければならない、複数担任制。いろいろとストレスもありますが、連携できると様々なメリットもあります。
いろいろな角度からみた援助や指導ができたり、子供とより多く関われたり、細かいことにも気付いてあげられます。ほかの先生達の保育をみることで学べることもたくさんあります。また、仕事を上手く分担することで、子供達との保育がスムーズに運んだり、持ち帰り仕事も減らすことができます。
なるべく、コミュニケーションをとるようにして、協力し合い、1年間乗り切れるといいですね。
でも、どうしてもうまくいかない時は、主任先生や園長先生に相談してみたり、体調を崩してしまう前に配置を変えてもらったり、転職を考えるのも手かもしれません。
◆マイナビ保育士
◆保育ひろば