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一般的に大規模保育園とは子どもの数が100人以上で、300人超えのマンモス園と呼ばれるものもあります。当然職員数も多く30人以上いるところがほとんどです。
預ける子どもの対象年齢は0歳から6歳までで年間カリキュラム、月案、週案などの指導案に沿って保育を行います。
大規模保育園と預ける子どもの対象年齢、保育の内容はほぼ変わりません。子どもの数は50~70人程度、職員数も20人程になります。
待機児童対策として始まり2015年に国の認可事業となった保育園で、子どもの数は19人以下と決められています。A型、B型、C型とあり施設設備によって職員数も違いがありますが、10人前後がほとんどです。預ける子どもの対象年齢は主に0歳から3歳未満で小さい子が多い特徴があります。
それぞれの園の特徴、メリットやデメリットを踏まえ、求められる保育士像とはどんなものでしょう。
大規模保育園では、行事や仕事量が多く当然体力に自信がある人でないと続けるのはかなりきついかもしれません。また、残業等も多いことが予想されますので家庭を持っておられる方、子育て中の方は周りの協力は必至と言えます。
ただ、先にも述べたように休み等は取りやすい部分もあるので、雇用条件をしっかりと見極め、今の自分の状況が正規職員、非正規職員どちらに向いているのかよく考えましょう。
大人数の子どもを相手に保育を行うわけですから、確実に保育士としてのスキルアップにもつながります。
長年保育士をしていると固定観念から抜け出せないことがあります。短大や大学を出たばかりの新卒の方は頭が柔らかく、発想豊かな方もたくさんいますね。そんな方はたくさんの子ども相手にダイナミックな保育を展開されてもいいかもしれませんね。
小規模保育園では、主に小さい子どもを保育します。こちらはダイナミックな保育というより、子どもが安心して過ごせる環境を提供することに尽きるかもしれません。
子どもが小さいということは、預ける保護者も母親になってまだ数か月~1年未満の方もいるかもしれません。そんな方のちょっとした子育ての悩みを聞いて、自分の経験を話したり、時にはアドバイスをしたりすることもあるかと思います。
従って、ある程度保育士としての経験があり、尚且つ子育ての経験があるなど高いスキルが求められるかと思います。
もちろん未経験者であっても、幼児よりも乳児の方が好きな方はアットホーム的な小規模保育園に向いているといえるでしょう。
◇職員との関係性について
大規模保育園のように人数が多いと、それだけ人間関係に悩まされるイメージがありますが実はそうでもありません。
もちろん保育士も十人十色。価値観が合う人ばかりではないのでグループ的なものが出来るのは自然の流れではないでしょうか。
大まかに分けると年齢が近い者同士仲が良くなる傾向にあります。仲が良い職員同士、悩みや愚痴などを話すことが出来たり、普段から助け合うことも出来ます。
また、子どもの人数に応じて職員も配置されますので複数担任の確立が高くなります。複数担任の場合だと20代~50代まで幅広い年齢層で配置されますので、同じクラス担任として交流が深まったりします。
一方、職員数が10人以下の小規模保育園の場合、少ない人数だからこそより綿密な連携を取れるメリットがあります。職員一人に対する責任も大きいですから、誰かが欠けてしまうと業務自体が滞ってしまう可能性があるからです。
◇保護者との関係性について
保護者との関係においては小規模保育園の方が子ども一人一人に手厚く関われるように、保護者とも親密な関係を作ることが出来ます。
大規模保育園では、いろんなタイプの保護者と関わることになりますので、誰に対しても柔軟なコミュニケーションが取れるスキルが身につきます。
関係が良好な場合、どちらの園においても人間関係に振り回されることはありません。ですがちょっとした行き違い、言葉の足りなさなどによりトラブルが起きると、状況は一変しますよね。
それが大規模保育園の場合だと、人数が多い分誰かが悩みを聞いてくれたり、味方になってくれたりして完全に孤立することは稀ではないでしょうか。
担当クラスが別であれば顔を合わせる機会も減りますし、仮に同じクラスでも1年ごとに変わりますのでその間だけ我慢することも出来ます。
しかし小規模保育園になると、普段の密な連携が逆に苦しめてしまう結果になりかねません。孤立してしまう可能性も高くなりますね。
保護者との関係では、大規模保育園の場合、一人一人としっかり対応する時間が取りにくい面があります。保護者と会う機会というのは朝夕の送迎の時間帯、行事の時に限られます。
送迎もバスを利用されていると会う機会が一段と減りますよね。その限られた中で、その子の一日の様子を手短にお伝えすることになり、じっくりとお話を伺うことは難しくなります。
もちろん何かトラブルがあったり、不安を抱えたお母さんに対しては個別に相談を受けますが普段のやり取りがどうしても希薄になってしまうのは事実です。
小規模保育園の場合、親密度が高くなる分何かトラブル(噛みつきやケガ)が起きた時、より不信感を抱かせる結果になる可能性があります。
保護者からすれば、人数が少ないからこそしっかりと見てくれていると思ってしまうからです。トラブルが起きた時の対応は特に気を付けなければなりません。
施設によってまちまちである為、一概にどちらがいいとは言えませんが、若干小規模保育園の方が給与の水準が高めの傾向があります。また、人数が少ないので、正規職員になる可能性も高いかと思われます。
大規模保育園になると、子どもの人数に対して職員配置をしますが、全員が正規職員ではありません。むしろ非正規職員(嘱託臨時職員、臨時職員、パート)が圧倒的に多いです。
仕事の内容はほぼ変わらないのに給与の面では明らかな差があります。これは雇用条件になりますので仕方がありませんが、非正規職員から正規職員になるのはそう簡単ではありません。
ただ大規模保育園では業務内容が多く、残業も増えることから手当がついたり、福利厚生もしっかりしているのはメリットに挙げられます。
仕事量は行事の数に比例します。まず大規模保育園の行事を見てみましょう。
☆がついているものは基本親も参加する行事です。
どの園でも行っているであろう行事をピックアップしました。園によって親の参加の有無は違いますが、結構な頻度で行事に参加することがわかると思います。
親の参加があるということは、それに伴う計画書の作成、円滑に進めるための前準備が欠かせないということです。
とても神経を使いますし、園に来ていただく以上、楽しんでもらいたいし、子どもの成長を見てもらいたいという気持ちから手を抜くことはありません。
このように、大規模保育園では行事に力を入れていることがわかるかと思います。その他に様々な雑用もありますのでかなり仕事量があります。
小規模保育園では季節を感じられるようなイベントはありますが、大掛かりな行事というものは、預かる子どもの年齢が低いことと、人数の少なさからあまり行っていません。従って業務内容も比較的少なくて済みます。
大規模保育園では職員数が30人を超えます。人数が多い分、急な休みを取らなければならない時には代替の先生がクラスに入ってくれるなど休みが取りやすいと言えます。
また、ローテーションで行う早出遅出の当番も回数が少なくて済みます。
小規模保育園では人数が少ない為、一人一人の役割も大きく休みも融通が利かないこともあります。
子どもの数が300人を超える大規模保育園で働いた経験から良かったこと、悪かったことをまとめてみます。
良かった点は、やはり保育士としてのスキルアップにつながったことです。
1クラスの人数が50人を超えていたので、今までの保育のやり方では通用しないことを痛感させられました。いかに限られた時間の中で保育を展開させられるかという段取り、子どもたちに伝わりやすい方法を日々考えていました。
大きな行事では人数が多いので盛り上がるし、圧巻でしたね。準備等大変な部分もありましたが、達成感はすごく感じられる職場でした。
悪かった点といえば、一人一人にきめ細やかな対応が出来にくい点でしょうか。人数は多くても保育に割く時間は決まっていますので、時間に追われるところはかなりあったように思います。
もう少し遊ばせてあげたくても給食、午睡、おやつとすることがたくさんある為、じっくり関わることは難しいことが多々ありました。
小規模保育園で良かった点は人数が少ないことと、小さな子どもが多いことからゆったりとした時間の中で過ごせることでした。
子どものペースに合わせられて不必要に急かすといったことも少なかったように思います。
原則子ども3人に1人の保育士となっていますので、一人一人の子どもの様子や成長具合をしっかり把握できることは保護者に対しても安心感を与えられたように思います。
悪かった点と言えば、大規模保育園のように大掛かりな行事はあまりないので若干物足りなさを感じることもありました。
大規模保育園や小規模保育園の話をしてきましたがあくまでも傾向の話です。各保育園によって特徴は違いますので、転職が気になり始めたら転職サイトに登録することをオススメします。
転職サイトに登録したからと言って必ずしも転職しなければいけないわけではありませんし、現状どんな悩みを抱えているか、そもそも転職した方がいいのか、まだ今の保育園のまま頑張った方がいいのか…など小さな悩みでも対応してくれます。
もちろん、1人で解決できるなら頼る必要はありませんが、日々悩んでストレスをため込むよりかは相談をしてアドバイスを受ける方が良い場合もあります。
今回紹介した大規模保育園、小規模保育園のメリットやデメリットはほんの一部です。園によって違いもありますし、人間関係においても人数の多い少ないで悪かったり良かったりはしません。
ですが、園を選ぶ際のポイントとしては、給与面や園で行っている行事、力を入れている部分(英会話、体育教室、絵画)などその園の情報をホームページ等でしっかり把握すること、見学させてもらえるのであれば実際に園を見てみることも大事だと思います。
外側だけではわからない部分もありますが、先生たちの雰囲気は感じられるかと思います。
オーバーワークになっている園では先生も疲れていますし、雰囲気も悪かったりします。(これはあくまで個人的見解ですが)
実際に働いてみてどうしても合わないと感じるときは別の職場を探してみてもいいと思います。
保育士という命を預かる仕事をしている以上、やりがいを感じられて生き生きと仕事が出来るそんな園を見つけられるといいですね。