保育士や学校の先生にとって大きな悩み、それは「モンスターペアレント」と呼ばれる保護者の存在です。十数年前からこの言葉が流行して以来、社会現象となり、その数は年々増え続けているといわれています。では「モンスターペアレント」がどのように保育士を悩ませるのか、そしてその対処法とは?お伝えします。
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◆実際にあったクレーム◆
【過保護系】
・お遊戯会で「なぜウチの子が主役じゃないの?」と言われた
・「うちの子の顔が集合写真に映ってる!何かに悪用されたら大変じゃない!」と言われた
・「取り合いになるような人気のおもちゃはケンカになるから置かないで!」と言われた
【要求系】
・「うちの子、A子ちゃんと仲良いみたいだから一緒のクラスにして!」
・「私、あのお母さんの事嫌いだから子どものクラスも別にして!」
・「幼稚園バス、ウチの目の前に停めてくれないかしら!」
・「お遊戯会のドレスを作ってたら会社に遅れた!賠償して!」
【過剰系】
・子ども同士のケンカに過剰に介入してくる
・保育士の指導に関して意見をしてくる
・園での生活を逐一電話などで聞いてくる
また、自分本位の考えからの「真っ当な理由」を用意してくることもあり、「バス」のクレームはその典型。「寒い中待たせて、風邪でも引いたらどう責任取ってくれるんだ!」なんて言われてしまうと保育士さんは返す言葉が無くなってしまいます。
大きな理由ひとつは保育士に対しての「過剰な責任転嫁」。「その時間、子どもを預けてるんだから何かあったらそっちの責任!何かが起こる前にもっとウチの子を見て!」というもの。しかし、保育士さんは一度にたくさんの子どもを見るのでひとりひとりに注力できません。
クレームをいれる保護者は「いち保育士さんだから何言っても聞いてくれるだろう」と強気できます。そこで上司や園長などに助けを求めて第三者の介入をすることによってその方は「証人」にもなってくれます。また、保護者間のトラブルに巻き込まれてしまった場合も両者を同席させることによって矛先を当人同士に向けることができます。
問題を解決するためには「穏便で建設的」な会話が必須。しかしクレームを入れてくる時点で相手は頭に血が上った状態なので相手をクールダウンさせるためにこちらはあくまで冷静に対応しましょう。決して話を遮ったり、反論してはいけません。
また、相手の態度や言動から、最初は「クレーム」だと思ってしまっても、本当は「正しい要望」であることもあります。まずは相手の話を最後まで誠心誠意聞いて、双方納得する方法を考えましょう。
また、相手の理不尽な態度や言動が目立つ際にはもしもの場合に備えて言動の内容、日付、その時の状況を事細かくメモやボイスレコーダーで記録しましょう。園を巻き込んでの話し合いや裁判で非常に貴重な材料になるでしょう。
しかし、相手に影響されてこちらも理不尽な反論や言動をしてしまうと「どっちもどっち」と思われ、そのような話し合いでは分が悪くなってしまう事もあるので注意。記録するのであればなおさらこちらは「冷静な態度」で望まなくてはなりません。
上記の対策をとっても依然としてモンスターペアレントに悩まされるのであれば思い切って「転職」も視野に入れてみてはいかがでしょうか?
保育園や保育の仕方はさまざま。あなたに合う保育園はほかにもたくさんあるでしょうし、ベビーシッターや児童養護施設など、保育士の資格を持っていれば働くことが可能なほかの職業もたくさんあります。「逃げた」と思わずに、自分が働きやすい職場をさがしてみてください。
・転職する際のポイント
モンスターペアレントとの遭遇率は「地域」によって変わるといわれ、所得や民度の良し悪しが大きく影響されてくるというのは保育業界のなかで「定説」です。例えば東京でいうと「千代田区」や「港区」は比較的モンスターペアレントに遭遇しにくい、と言われています。
「この地域はどうなの?」、「この保育園はどんな保護者が多いの?」などの疑問は「保育士転職サイト」などで情報収集するのも得策。希望地域の保育園を熟知しているサイトであれば、専属のアドバイザーのサポートもあり、「遭遇率」についても知ることが出来るでしょう。
論理が破綻しているにも関わらず、理不尽なクレームや不当な要求を大声でまくしたてる「モンスターペアレント」は確実にいます。決して分かり合えないことも多くありますが、その反面、保育園としてしっかり受け止めるべき保護者からの正しい意見や提案も、ときに保育園側は不快に感じて「モンスターペアレント認定」してしまう事も少なくないそうです。
しかし、モンスターペアレントは初めからモンスターではなかったはずです。両者が気持ちよく問題を解決するためには保育園、保育士の適切な対応が求められます。まずは対処法を身に着け、保護者との対応に臨みましょう。
対応に疲れてしまったら決して無理はしないでください。周りに助けを求め、必要であれば環境を変えてみてはいかがですか?