昨今の女性も積極的に働く社会において、企業内に設置された「企業内保育園」が働くママの間で注目されています。ママさんにとっては自身の働く場所のすぐ近くに子どもを預けることができるので安心と評判ですが、そこで働く保育士は一体どのような内容の業務を行っているのでしょうか。
業務時間は?内容は?そして待遇は?今回は「企業内保育園」のこと、そしてそこで働くことのメリット、デメリットをお伝えします。
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現在「企業内保育園」の数は全国に約5000弱。厚労省が平成28年の段階で一旦新規の設置を停止しているのでこれから新たに数が増加することはあまり見込めませんが、保育園のひとつの在り方として、保護者だけでなく保育士にとっても職場選びのひとつの選択肢として注目されています。
「企業内保育園」は企業が運営しているだけあって、保育士は「企業のいちポジション」として採用されます。なので企業の「規模」や「園に対しての方針」などによって給料や待遇面が大きく異なりますが、1000人規模の企業ですと、給料は通常の認可外保育園と大差はありません。
しかし、「企業の社員」と位置づけされるので資格手当や夜勤手当、ボーナスなどはきちんと契約書に記載されており、働く上での収入への不安は通常の保育園よりは緩和されるでしょう。
そして雇用の仕方もさまざま、社員として雇用されている保育士からパート、アルバイトまで。「サービス提供」という形で外部から派遣されて働いている保育士もいます。認可外なので資格は不問です。
また、普通の保育園と大きく違うところは、企業内保育園は保護者会や運動会など、保護者が参加するイベント行事にあまり力を入れていません。これは保護者が同一社に勤めていることで共通の休日を取りづらいから、という理由もありますが、メインの業務はあくまで「子どもを預かること」です。
なので通常の保育園にあるイベント準備やそれに伴った残業はあまりなく、比較的業務時間内に業務を終わらせることができます。
メリット |
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・雇用形態、福利厚生がしっかり ・小規模ゆえの「アットホーム感」 ・緊急時の保護者への対応がスムーズ ・イベントがない分、残業が少ない ・残業してもしっかり手当を受け取れる ・休みをしっかり確保できる ・保育に専念できる ・「仕事」と割り切ることが可能 |
「企業内保育園」は国からの支援が少ない公立や、経営が不安定な私立とは違い、プロフェッショナルな「経営」を行っている企業が運営しています。当然、社員に対しての雇用形態、待遇がしっかりしています。また、経営自体も「ビジネスライク」に行うことが多いので無駄な業務や残業は省き、業務時間を遵守する傾向にあります。
企業内保育は多くは社内の一室や近所のスペースを使用しているので小規模な園がほとんど。預かる子どもも少人数であるため、子ども、そして保護者と密接に触れ合うことができ、親交を深めやすいのが魅力です。
また、年齢によるクラス分けをしない「縦割り保育」を導入している園では長期的に同じ子どもを保育出来るというメリットがあります。
デメリット |
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・保育園の「基準」を満たしていない事がある ・保育士に対しての子どもの数が多い可能性が ・企業の「経営」次第では「閉鎖」もあり得る ・場所が限られるので遠方まで通勤する可能性大 |
その企業からすれば「社員へのサービス」や「会社としての社会貢献」と謳って企業内保育園を作ることが多いですが、それゆえに「ただ作っただけ」な園もあるのは事実。規模に合った保育士を確保していなかったり、トイレや寝る場所などの内部の施設が不充分だったりと「保育園の最低限の環境づくり」が整っていないこともあります。
雇用形態や福利厚生がしっかりしている反面、そのような環境面で保育士が苦しんでしまう可能性もあるでしょう。
会社はあくまで「ビジネスの一部」として保育園を捉えています。そのうえで会社にメリットがなくなったり、経営上運営するのが難しいと判断すれば園をすぐに「閉鎖」してしまうでしょう。これは実際によくあることで「企業内保育」という言葉が生まれてから数十年経った今でもあまり園の数が増えていないのはこのためです。
もし「企業内保育園」に転職を考えているのであれば「保育士転職サイト」を覗いてみてはいかがでしょうか?ハローワークや求人雑誌にも企業内保育の求人はありますが、限定的でなおかつ園のイメージが湧きづらい求人ばかりです。
「保育士転職サイト」であれば上記のものより求人数が多く、求人内容も充実していて、なおかつ専属のアドバイザーのアドバイスも得られるので効率よく転職活動ができます。
◆マイナビ保育士
◆保育ひろば
この2つの転職サイトは転職の利用者からの評判が良いので登録しておいて間違いありません。
また利用者のリアルな口コミを参考にするのもとても重要になってきます。限られた求人数しかない「企業内保育園」を探すにはこれらのクチコミ収集は非常に有益。表面的な情報だけで応募しないよう注意しましょう。
「企業内保育」は企業が運営している以上、その会社の経営や方針に大きく左右されてしまうというデメリットはありますが、その反面、「過酷な労働環境」や「保育業界特有の悪習」など、保育業界に蔓延する問題とは少し違った場所にあります。そのような問題と距離を置きたいのであれば「企業内保育園」はおススメです。
しかし上記のデメリットのように、企業が経営しているが故の問題もそこにはあるので、転職を考える際には専任のアドバイザーの協力を得て、自分に合った保育園を選びましょう。